創業100年 世界のブランドを魅了する尾州の毛織物工場

SANGOUでアウターを作るとしたら。やはりトンビコートが作りたい。ウール生地での重厚なトンビコート。そこで日本で最大の毛織物産地として有名な「尾州」を訪れることになった。
数ある織物工場の中から、菊田参号が惹かれたのは「葛利毛織工業株式会社」。100年続く高級毛織物の織元だ。その織物のクオリティは非常に高く「世界のブランドを魅了する尾州の織物工場」とも言われている。
訪れると葛谷氏があたたく迎えていただいた。まず目に飛び込んで来たのは「天皇陛下御献上」という賞状だった。天皇陛下の着用される生地を作っているのだそうだ。なんとも恐れ多いところに来てしまったと戦々恐々である。

しかし、社長をはじめ、迎え入れてくれた葛谷氏、スタッフの皆さんが本当に暖かく、工場見学も丁寧に説明いただき、写真撮影がしたいと申し入れれば、とても協力していただいた。このような人柄が、やはり長く続けていくということには大事なんだろうと肌で感じたのだった。

工場見学は大変に興味深く、毛織物というもののそれは細かく大変繊細な作業工程には感嘆の声を上げてしまうほど。織機の操作もそうだが、それ以前の手間のかかる細かい工程をいくつもクリアしてようやく織機にたどり着く。

生地の組織図(設計図)を見ながら何行にも別れた綜絖に、1本1本手作業で糸を通す作業は職人技。本当に根気のいる仕事で、それを丁寧にやることができる葛利毛織だからこxブランドが唸るほどの生地が生まれるのだと納得した。

今回の目的は「厚手のウール生地」。たくさんあるサンプル生地の中から最適のものを吟味する。その際にも、葛谷氏にはずっとお付き合いいただき、あーでも無いこーでも無いとじっくりと選ばせていただいたことで、菊田参号にとっては最上の生地を選択することができた。
コートやジャケットを作る際の最近の常としては、裏地は滑りのよいポリエステル系の生地を使用することが多いそうだ。コストダウンさせるためにも。つまり、そのような裏地は葛利毛織では扱っていないとのことだった。別で安くて良い生地を用意すればよいのだが、妥協したようで、それだけはどうしても嫌だった。そこで、色々と議論した結果、裏地にも高級なウール100%の薄手のものを使用することになった。

ポリ生地がなかった頃は、裏地にも毛織物を使用していた。

ただその分高額になってしまうし、扱いもより大事にしていかなくてはならないことから、現在では使われることは少ないのだという。SANGOUとしては「本物」を提供したい。デザイナー自身まだまだ勉強不足であることは否めないのだが、こういったモノづくりを通じて「本物」に出会う機会を増やし、ブランドとして「本物」を作っていくための糧にしていきたいと考えている。

トンビコート用の生地は決まった。本来であればここで終了するはずなのだが、葛谷氏と話していく中で一つのアイデアが生まれた。葛利毛織は洋装のスーツジャケット用の生地を作っている織元で、高級で上質なジャケット生地が多数存在する。その毛織物を見ているうちに「この生地で羽織を作ったらどうなるだろう」ということを考え始めたのだ。フォーマルな羽織。これはかっこいい!ということで、再度生地選びに突入。選んだのは、特に珍しいという「モヘア生地」。モヘアというのはアンゴラ山羊の毛の事。トルコ語のMukhyarがなまったことに由来すると言われ、『最高の毛』と言う意味だそうだ。最高の毛と言われるだけあって、生地の価格も高価。シャリっとしていて通気性も良く、驚くほどシワになりにくいのが特徴。通常は「モヘア混」と言って、ウールと混ぜて作られることが多いのだが、SANGOUでは贅沢にも「モヘア100%」の生地を使用した。トンビコート同様に表地も裏地も「モヘア100%」。この贅沢な「ジャケット羽織」に「トンビコート」で冬を楽しみませんか?

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